沖縄で開催する第19回へき地・離島救急医療学会学術集会の大会長ご挨拶

離島救急の未来を探る〜沖縄からの提言〜のテーマで、平成27年10月24日土曜日に沖縄県市町村自治会館にて開催
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会長あいさつGreeting of Chairperson

大会長 崎原永作 Eisaku Sakihara
公益社団法人地域医療振興協会 理事
沖縄地域医療支援センター センター長
離島医療では、島々の特有な医療ニーズを見極め、それに対応したオーダーメイドの医療サービスを提供していくことが大切です。

第19回へき地・離島救急医療学会学術集会を沖縄で開催するにあたり、学会長としてご挨拶を申し上げたいと思います。 ご存知のようにわが国はユーラシア大陸の東縁に沿って、最北端の択捉島から最西端の与那国までの全長3,000kmに渡って6,800余の島々が連なる世界有数の海洋島嶼国であります。 そのため国土面積の12倍におよぶ広大な200カイリ排他的経済水域を確保しています。
6,800の島々のうち有人離島は約300島あり、南北にひろく点在していることから、島々を取り巻く環境は驚くほど多彩であります。
島の大きさや人口、本土にある中心的な都市からの距離、アクセス手段などの地理的要因や文化・風習などの地域特性から、 求められる医療ニーズは島ごとに異なっているため、島々で特有の医療ニーズを見極め、 それに対応したオーダーメイドの医療サービスを提供していくことが、離島医療では大切になってきます。
沖縄県においては東西千キロ、南北四百キロの広い海域に遠隔孤立型の約40の小規模離島が点在しているため、 ほとんどの離島診療所で医師は単独配置となっています。そのため島にいる間は唯一の医師として時間外や休日を問わずオンコール状態がつづきます。
島を出るには代診医の確保が前提になりますが、その代診医の確保が容易ではないので、 離島医は年間にわずか20日間しか代診医が確保されていないという現実があります。
本県の離島医療体制の発展の歴史は、離島前研修の充実、診療所の医療機器の整備や医療情報支援システムの構築、 代診医や専門医巡回診療の実施、急患搬送体制の整備等々、離島医を支える事に主眼をおいた仕組み作りの歴史であり、いまだ道半ばであります。
今回、へき地離島救急医療学会学術集会の開催を機に、全国の離島医療体制の構築に指導的役割を果たしてこられた先生方をお招きし、 沖縄の先人たちが協働して作り上げてきた、現時点における最適解としての本県の医療体制の先進性と解決すべき課題をご指摘いただいて、 本県の離島医療の大いなる発展に、ひいては全国の離島医療問題に定通する共通課題の解決に向けて一歩でも前進することを願うものであります。